矯正歯科Q&A

矯正歯科Q&A

Question 1
子供たちの不正咬合が増えていると聞きますが本当でしょうか?
矯正医 林
今のお子さんたちは30年前と比べても上あごの歯並びが狭くなり、その影響で下あごの成長方向に異常があることがわかっています(文献1,2)。「今の子供たちはあごが細くなった」といわれていますが、実際にはあごの骨自体の大きさは変化がなく、歯が内側に倒れていることでかみにくい、硬いものがかめないなど、機能的に弱いあごになっているのです。(文献3)。
院長 増田
このような歯並びのお子さんは、お口の機能が発達しない→上顎が十分に広がらない→下顎の成長が未熟で機能的に弱い→よくかめない→お口の機能が発達しない、という悪い連鎖が起きています(文献2,3)。これは食事や生活サイクルも影響していると言われています。
Question 2
歯並びを治すとどういうメリットがあるのでしょうか?
矯正医 林
歯にはそれぞれ役割があり、本来あるべき場所に正しく並ぶことによってかむという働きを十分に果たします。特に成長期においては、正しくかむことは心と体の発育に影響します。脳に伝わる情報量を100とすれば、顎から伝わるのはそのうちの半分を占めるといわれています。顎の発達、咀嚼の大切さがわかります。
院長 増田
きれいな歯並びは、笑顔に自信を持たせてくれます。しかし、歯並びは見た目だけの問題ではありません。どんなにお金をかけても「自然な歯」以上のものは出来ません。大切な歯が一生機能するよう、早期に正しいかみ合わせを作り、歯を守る事はとても大切なことです。
Question 3
本格的な矯正に入る前に、取り外しができる装置とかむトレーニングによる咬合誘導が最近の増えてきていますが,なぜ”かむ”ことが歯並びに関係があるのでしょうか?また実際の効果はどうなのでしょうか?
矯正医 林
乳歯の生えそろった3歳児以降で、かむことがうまくできない子供たちが増えています。不正咬合になるお子さんたちはかむこと、飲み込むが苦手で、口呼吸のため普段口が開いている傾向にあります。お子様への治療では、取り外し式の装置を使ってあごと歯並びの成長を促進するだけでなく、かむトレーニングによってお口の機能を強くして健康的な歯並びを作っていきます。
院長 増田
私たちがお子さんの矯正治療を行う上で目標とするのは、一生自分の歯で咬む事の出来る歯並びになるようお手伝いすることです。そのためには乳歯と永久歯の混在する時期から、矯正治療とかむトレーニングを開始し、歯並びを改善だけでなく、咬み方、飲み込み方などを指導しています。トレーニングによって口腔機能が向上する程、矯正治療の効果が高いことがわかっています。また、後戻りを少なくなることが証明されています。
Question 4
かむトレーニング開始時期は何歳ぐらいが適切なのでしょうか?
矯正医 林
トレーニングの開始時期は大切です。ある程度成長してしまうと、難しいトレーニングをして時間をかけなければなりません。一般的には4歳ごろから開始すると効果がでやすいです。まず、保護者の方に、かむトレーニングの目的を理解していただき、お子さんの食べ方、飲み込み方の指導をします。その後、お子さんに「ベロってここに置けばいいんだよ」とか「正しいゴックンはこうすれば良いよ」とか「かみ方はこうすれば良いよ」と教えてトレーニングを開始します。
院長 増田
本来、舌は上あごに触れているものですが筋力が弱いことでその位置にないお子さんが多いです。舌が下がってしまうと不正咬合となりやすく、滑舌や発音、咀嚼、嚥下、表情にも影響します。意外と舌の正しい位置を知らない方が多いのですが、こういったちょっとしたことを意識するだけで歯並びが改善することは多いのです。
Question 5
かむトレーングだけで歯並びは改善するのでしょうか
矯正医 林
残念ながらかむトレーニングだけで完全に歯並びが改善され、矯正治療が必要なくなる方は少ないです。しかし、不正咬合の原因であるお口の機能の低下をトレーニングで改善しながら、矯正治療を行うことで効率的に歯並びを改善することができます。
逆にかむトレーニングをしないと、一般的な矯正治療だけでは十分な治療効果が見込めないケースもあります。
Question 6
矯正治療というと抜歯をするというイメージがあるのですが?矯正に抜歯は必要なのでしょうか
院長 増田
例えば出っ歯の症例であれば、上顎の歯を抜歯して前歯を引っ込めて小さい顎(下顎)に合うように治療をしてきました。しかしながら、小さい下顎に上顎を合わせることによって、かえって機能的に窮屈になって顎関節症になったり、治療後の後戻りが大きいことあります。
矯正医
一人一人の不正咬合の成り立ちを考えて、抜歯をする前に顎を正しい方向に成長させることが大切だと考えています。第一段階の矯正治療で口腔トレーニングと顎骨の発育を考えた治療をすることで第二段階のブラケット矯正で、抜歯の必要ないケースが増えています。
Question 7
子供の矯正治療では、ブラケットは使用しないのでしょうか?
矯正医 林
お子さんの治療では上顎の歯列をどこまで広げるべきか、下顎の位置をどこまで誘導するべきかをしっかり評価して、床矯正、マウスピースなどの取り外し式の装置で治療します。ただし、ブラケットは土台の上に安定した歯並びを作るために最終的には必要です。
院長 増田
患者様から「ブラケットは金属で目立ちますよね」と質問されます。矯正と言えば銀銀で目立つというイメージが強いようですが、当歯科クリニックでは金属の物は使いません。銀のブラケットは心理的負担から人前で笑わなくなったり、口数が少なくなってしまうことがあるため、QOLが落ちてしまい本末転倒な結果になってしまうことがあります。成長期は笑う、話す、食べるといった口腔機能の発達が大切ですから、歯の表面につけるブラケットは出来るだけ人から目立たないよう、透明で薄く、痛みが出にくいもの、ワイヤーも白いものを採用しています。
Question 8
子供の歯をみるとすき間が多いのですが、将来歯並びは大丈夫でしょうか?
院長 増田
6歳頃までの乳歯列ではすき間がなく奇麗に歯が並んでいる子供のほうが将来的に歯並びは悪くなる可能性が高いです。乳歯列は歯と歯に適度なすき間があった方が正常な状態といえます。ただし、指しゃぶりや舌癖などで上と下の前歯が離れている場合は注意が必要です。
Question 9
矯正治療にはどのような方法があるのでしょうか?
院長 増田
当歯科クリニックでは矯正専門医、小児歯科専門医、かみ合わせを熟知した歯科医師が在籍していますので、矯正専門医を中心に患者さんの年齢、生活習慣、口腔内環境などを検討しております。床矯正装置、マウスピース矯正、T4K、マルチファミリー、表側ブラケット、裏側ブラケットなど様々な治療法から最適な方法をご提案させて頂いております。
よく”裏側矯正だけで”、”マウスピース矯正だけで”、という話も耳にしますが、最大限の治療効果を得るには必ずしも一つの治療法だけでは困難なケースが多々あります。無理に一つの方法だけにこだわると仕上がりが甘くなったり、後戻りがおきてしまうことがあります。
Question 10
床矯正とはどのようなものですか?またどのようなメリットがありますか?
矯正医 林
歯列の幅を広げるための拡大床、下あごの成長を促すためのバイオネーターなど歯列と顎の発育を促進させる装置です。患者さん自身で主に就寝時に装着してもらう必要があります。
院長 増田
適正な年齢で開始することで、学校では使用しない方法を提案しております。お口の中に固定式の装置と比べると痛みと違和感が少なく、食事もしっかりとれて、歯も磨けるためストレスが少なく矯正治療を進める事ができます。
Question 11
ブラケットによる治療はどのようなものがあるのでしょうか?
矯正医 林
ブラケットは大きく分けて表側と裏側。表側でも従来の金属のものから最新の透明で痛みの出にくい装置まで様々な装置があります。それぞれの装置で長所、短所がありますので症例に応じて最適な装置をご提案させて頂いております。
Question 12
マウスピース矯正とういう方法があると聞きましたが、どのような治療でしょうか?
矯正医 林
患者さんがご自身で装着することによって歯の移動がおこる装置です。毎日マウスピースを決められた時間装着してもらう必要があり、患者さんの協力が100%必要な治療方法です。当歯科クリニックではインビザラインとASOアライナーの2種類を提供しております。ただし、これらの方法は全てのケースに効果がある訳ではなく、適応症があります。
院長 増田
当歯科クリニックではできるだけ見えずに矯正したい方、仕事上表側にブラケットを使う事ができない方、金属アレルギーのある方を治療しています。しかしながら、マウスピース単独の治療で完全な歯並びを獲得する事が難しい場合にはブラケット装置とのコンビネーションで治療する方法を提案しております。
Question 13
矯正治療ってこんなに痛いものかという声をよく聞くのですが?
矯正医 林
痛みの感じ方はそれぞれ違いますから評価が難しいのですが、当歯科クリニックの治療では出来るたけ痛みが出ないような、ワイヤーとブラケットの摩擦を抑えた装置を使用しております。1つの歯に負荷される力は従来の力の半分程度と思ってください。
院長 増田
どうしても痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合には、痛み止めを処方してペインコントロールしております。

文献

  1. Hayashi.R,Kawamura.A, Kasai K: Relationship between masticatory function,dental arch width, and bucco-lingual inclination of the first molars.Orthod Waves,65:120-126,2006
  2. Hayashi.R, Kanazawa. E, Kasai.K: Three-dimensional changes of the dental arch form and the inclination of the first molars-comparison between crowding-improvement and crowding-aggravation groups. Orthod Waves,65:21-30,2006
  3. Hidehiko.T, Hayashi.R, Saitoh K: Consideration of the mechanisms involved in dental crowding Comparison of dentition growth changes in children of two primary schools during twe different eras-.IJOMS Vol.6 2008